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林野庁長官賞

ログハウス生産による国産材の需要拡大
地域材生かして日本一のログ生産地

日田郡森林組合 (組合長 壁村史郎)

□事業体の構成

組合員3,453名
〒877−03 大分県日田郡中津江村大字栃野字クレコノ 
TEL0973−54−3201

 

 

□ログハウスの加工・納入

 


1 九州を代表する集散地
   (地域のあらまし)

  日田地域は、県の北西部に位置し、1市2町3村を包括する総面積6万6,610haの区域であり、スギの挿木造林による民有林主体の林業地である。森林面積は、5万5,887haであり、林野率が84%と高く、民有林は、5万3,516ha(96%)である。また、古くから造林が行われており、人工林率は79%と高く県平均の54%を大きく上回っている。スギが人工林の85%を占めているが、これは地質、土壌及び気象条件がスギの生育に適しているためであり、ha当たりの生長量と材積は県平均の1.5倍となっている。
  当地域では、このような豊富な森林資源を背景として、古くから素材生産が行われており、平成元年の生産量は24万4,000m3となっている。この素材は地域外の素材とともに日田市内の8つの原木市場で市売されている。平成元年の原木市場取扱い量は47万8,273m3であり、当地域に供給される国産材の95%を占めている。
  当地域は、古くから製材業が発達しており、現在日田市を中心に123社が操業している。平成元年の国産材製材品生産量は、37m3であり、そのほとんどが一般建築用材として福岡県を中心に九州内に出荷されている。さらに、当地域は木履や家具及び木工クラフトの製造も盛んに行われている。このように林業、木材産業が当地域の基幹産業であり、素材生産量・製材品生産量は年々わずかであるが増加しており、九州を代表する木材の一大集散地を形成している。

2 間伐材の有効利用
   (事業の目的)

  素材や製材品の生産量は伸びているものの過疎化は年々進行しており、特に林業労働力不足は深刻な問題になっている。この傾向は昭和50年代に入って現われ始め、55年以降林業・木材産業が低迷期に入ってから顕著になった。一方、昭和56年度から間伐促進総合対策事業が実施され、国の助成が強化されるとともに間伐材の生産量が伸び、その有効利用対策が検討されるようになった。このような状況下にあって日田地域の中でも最も林業に対する依存度の高い日田群上津江村では、間伐材の有効利用による地域材の需要拡大と就労の場を確保して住民の定住化を促進することにより、過疎化をくい止め地域振興を図る目的で、ログハウス生産用の丸棒施設の建設に着手した。

3 村営からスタート
   (目的達成への足どり)

  上津江村では、丸棒生産施設の建設にあたり村を中心に関係者による協議が慎重に進められ、全国各地の木材加工施設等の視察を重ねた結果、ログハウスの生産に取組むことが決定された。当時静かなブームであったログハウスが、今後も伸びることを見込んでの決断であったが、一方では村にとって大きなリスクを背負うことでもあり当初から自信満々でスタートしたわけではなかった。操業開始時には初めての試みのためトラブルも多かったが、軌道に乗りはじめると注文も増加し、生産量も順調に伸びていった。
  このため、昭和59年と60年に山村林業構造改善事業を導入して施設の拡充を図り、量産体制に入り、ログ材による壁面工法の新技術を開発して特許申請を行うまでになった。この特許申請は平成元年に認可がおり、ログハウスのネームバリューを一層押し上げた。
  このように暗中模索の中から村直営でスタートしたログハウス生産は、村による継続的な製品のPR活動、加工技術の向上及び設備の合理化等により、当初の計画に沿った運営により順調に推移した。しかし、村の努力が思わぬ波乃効果を生み、注文が殺到しはじめたため原木の供給が村内からだけでは困難になってきた。また、生産量の増加に伴い経営面の充実を図るためには、より企業性を打ち出す必要がでてきた。
  このような状況下において関係者による検討が積み重ねられた結果、地域内で素材の生産から流通加工までの一貫した林産事業を強力な組織体制にもとに行っている日田郡森林組合に、ログハウス生産施設の全面移管を行った方が、当初の目的をより発揮できるのではないかという結論に達し、昭和61年10月に全施設を譲渡した。その後昭和62年・63年・平成元年と国産材供給体制整備事業を導入して、加工体制の充実を図るとともに販路の拡大にも力を入れ、今日に至っている。
  移管当時に直径18cmのログまでしか加工できなかったが、現在では30cmまで加工でき、売上げも年々上昇し、平成2年度は4億8,000万円の売上げとなっている。
  このように、当初は村直営で始めたログハウスの生産であったが、現在では名実ともに日本一のログハウス生産地に成長し、所期の目的が達成されつつある。

4 杭木、丸桁、フラフト製品も
   (事業の内容〈特徴〉)

  ログハウス生産には大きく分けて二つの工程がある。
  一つはログハウス材に適する原木の生産である。日田郡森林組合は、日田林業地の中心である日田郡(2町3村)を包括する広域森林組合であり、造林から素材の生産・販売まで一貫した体制のもとに行っており、県・町村及び森林所有者と連携を密にし、良質材の生産に取り組んでいる。特に、ログハウス材の主原料である間伐材の生産には力を入れ、間伐技術の向上や経営面での指導を職員が一丸となって行っている。また、ログハウス材の生産以外に杭木、丸桁、クラフト製品も生産しており、間伐材の有効利用と就労の場の確保を図っている。
  二つめは、ログハウスの生産である。現在、敷地面積9,250m2の中に2工場が設置されているが、その他の施設としてリングバーカ、オガ粉処理機、乾燥施設及び製品管理兼保管庫等を設置し、高品質なログハウスの生産に取り組んでいる。ログハウス材生産工場は6〜18cm工場と20〜30cm工場の二つに分かれ、月に1,000〜2,000本を生産している。
  ログハウス材の生産は、まず原木をリングバーカにより剥皮し、径級ごとに椪積して1〜2か月程度土場で天然乾燥させ、注文に応じて径級ごとにラインに流して円柱削り、背割り及び溝加工を行う。また、必要に応じて人工乾燥施設も利用して効率的な乾燥を行っている。生産されたログハウス材は一箇所に集められ、土場で図面と照合しながら仮組を行い、部材の不備や寸法等の確認を行ってから出荷されている。
  この仮組は、発足当時から行われており、ユーザーの自由設計を基本にしていることと施工を代理店にまかせる場合のトラブルを未然に防ぐためにも必要であり、この作業を行うことにより工務店やユーザーから厚い信頼を得ている。また、設計についてはモデルプランも準備している。自由設計の場合は、まず3名の職員がユーザーの希望を採り入れて概要設計を行い、本設計は設計事務所に委託している。なお、施工は直営のログハウス専門の大工4名で行っているが、遠隔地や部材供給だけの場合は代理店にまかせている。しかし、施工時には4名の営業マンがそれぞれ担当の現地まで技術指導に行く体制をとっており、設計から施工管理まで心の通ったログハウス生産を目指している。現在、ログハウス生産施設には平均年齢が30代後半の25名が従事しており、発足当時に比べ人数も増え、過疎化対策の一翼を担っている。

5 別荘が全体の40%近い
   (事業の実績)

  ログハウス材の原木は、日田郡森林組合の共販所でほとんどまかなっているが、直材という条件と30cmクラスの注文が増えたこともあり、最近では日田市内の七つの原木市場からも購入してる。平成2年の原木購入量は5,000m3であり、年々増加傾向にある。樹種はすべてスギであり、長さは3mと4mの2種であるが、4mが主体となっている。原木の末口径は6cm〜36cmと幅広く、最近はログハウスの大型化に伴い20cm以上の占める割合が多くなっている。したがって、ログハウス材の径級は、主体が14〜18cmから18〜22cmに移ってきている。ログハウス材の生産及び販売実績は、移管当時の昭和61年度において本数で1万2,000本余り、売上額で約9,000万円であっが、平成2年度は、本数で3万5,000本、売上額で4億8,000万円に達しており、順調に販売量を伸ばしている。
  生産されたログハウス材はほとんどが建築用に使用されるが、一部は公園の遊具施設等にも利用されている。ログハウスの供給は100〜150棟であり、そのうち約1割を日田郡林組合で直接施工している。残りの9割は全国の工務店17社と契約し、部材供給を行っている。この工務店とは平成3年2月に、営業、販売及び広報活動を拡大し、ログハウスの建設推進を図る目的で施工特約店制度による契約を取り交し、認定証の授与を行っている。
  平成元年の用途別供給内容についてみると、別荘が依然多く全体の40%近くを占めており、2番目が喫茶店等の店舗が20%、以下集会施設、キャンプ施設及び一般住宅が10〜15%となっている。この中で一般住宅の割合が年々伸びており、ログハウスに対するイメージがマイナーなものからメジャーになりつつあると言える。販売先別では、福岡県が圧倒的に多く全体の40%を占めているが、昭和63年の60%に比べるとかなりその比率は低くなっており、福岡以外の九州内が伸びて、20%を占めている。また、県内は前年に比べ落ち込み10%となっており、関東や関西が伸びている。このことは、販路の拡大が図られつつあり、大都市近郊等への進出が今後ますます高まるものと予測される。また、最近では新しく商品開発したハーフログの注文が増えており、平成元年には3,500万円の売上げがあった。このハーフログは、角材に丸味をつけ加工したもので内外装材として人気があり、今後も注文が増すものと思われる。

6 ハーフログの拡大も
   (今後の取組み〈将来構想〉)

  上津江村と日田郡森林組合の地道な努力により、ログウス材生産は順調に伸びており、当初の目的であった間伐材の有効利用と就業の場の確保はある程度達成されたと言える。
  しかしがら、ログハウス材の生産が注文に応じきれないことや他地域での新工場の建設による競争相手の出現により、今後加工体制の充実、ログ材の品質向上及び新技術の開発等が必要である。また、就業の場は確保されたものの過疎化は依然進んでおり、福利厚生面の充実による雇用条件の整備を図る必要がある。
  以上の問題点を解決するため、生産工場を一つ増設し、作業員を5名増員する計画があり、今後注文が多くなると思われるハーフログ加工機の導入も検討中である。また、品質向上のため原木の乾燥に力を入れる方針であり、素材生産時の葉枯らしや陣掛の推進を図るとともに土場の拡充を行い、天然乾燥と乾燥施設による人工乾燥のコンビネーション化を検討中である。
  新技術の開発では、継手加工と接合方法を検討中であり、接合金具や塗装剤の研究も進めている。雇用条件の整備については、若齢者が安心して働ける環境づくりのため福利厚生施設の設置や給与面の見直し等も検討中である。また品質向上や新技術開発のため作業員の技術向上を図る必要があり、先進地視察や研修機関への派遣、あるいは他地域の同業者との技術交流等を行うことも検討している。
  以上日田地域におけるログハウス生産の概要について述べたが、生産を開始して7年が経過し、当初の目的はある程度達成されつつあると思われる。しかしながら、ログハウスの生産により、地域材の需要拡大を図るとともに過疎化に歯止めをかけ地域振興を推進するためには、関係者のなお一層の努力が必要である。



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