塗装木材の加工技術
内装用塗料

内装用塗料の例
内装用塗料は主に建築内部、家具、食器などに使われるクリアーと呼ばれる透明塗料が多く市販されています。代表的な内装用塗料は、
- ニス:シェラック虫の分泌物をアルコールに溶かして作ります。速乾性で茶色の硬い塗膜を作り、光沢、弾性が高いですが、熱、湯、アルコールに弱く白く変色します。学童の木工用、低級家具等に使われています。
- ラッカー:ニトロセルロースとアルキド樹脂をラッカーシンナーに溶かして作ります。速乾性なのでスプレーで塗装するのが一般的です。主に家具の上塗り、内壁材等に使われています。
- アミノアルキド樹脂塗料:メラミンや尿素樹脂とアルキド樹脂をアルコール系溶剤に溶かして作ります。使う際に硬化剤(塩酸)を加えて塗装します。塗膜は硬く、光沢があり、溶剤に侵されず、塗りやすいので木工用に広く使われています。ホルマリン臭があるのが欠点で、食器棚への使用は規制されています。
- ポリエステル樹脂塗料:不飽和ポリエステルにスチレンまたはアクリルを加えて作ります。塗膜は硬く、傷が付き難く、一回塗りで厚膜に仕上がるので利用が多く、合板、ピアノに多く使われています。
- ポリウレタン樹脂塗料:主剤がポリオールで硬化剤がイソシアネートの2液型の塗料で、木工用に最も多く使われています。塗膜は硬く、弾性があり、傷が付き難く、薬品に触れても強く、付着性も最高です。2液型の他に、作業性の良い1液型の塗料も多く用いられています。
- アクリルラッカー:アクリル樹脂とニトロセルロースを配合して作ります。ラッカーと同じ速乾性、作業性、性能を備えています。黄変性が無く、濡れ色にさせないなどの、長所があり、ヒノキやスギの塗装に最適です。

木工用塗料の特徴
建築内装

建築内装
建築塗装の目的は美しさを与え、その維持と木材の保護ですが、現在の塗装目的には機能性の付与が加わりました。塗膜は構造用木材や木質系建材の防水、防湿、防カビ、汚れ防止、防火、磨耗防止等の保護的役目と色彩及び光沢調節の役目を果しています。
内装塗装は木目をいかすために、主に透明(クリヤー)か半透明の塗料を使い、半艶仕上げにすることが多いようです。建築塗装では建築学会標準仕様書(JASS)が定められています。しかし、必ず適用されるわけではなく、経験、習慣、予算などによって塗装が行われるケースが多く、比較的簡単な塗装工程が一般的です。現在の一般住宅ではプレハブ化が進み、建材の塗装が工場で行われることが多くなり、建築現場での塗装が少なくなっています。
和風住宅のワックス仕上げ:新築時に柱、鴨居等に行う仕上げで、低粘度のアクリルラッカーを塗り、その上をワックスで仕上げます。濡れ色にならないのが特長です。
透明塗装:素地を洗浄し、目止め及び着色を必要に応じて施します。塗装目的によってクリヤラッカー、フタル酸ワニス、アクリルラッカー等を選択し、その艶消しを2回塗布します。立羽目、扉、窓枠、床、階段等に用います。
着色塗装:台所、浴室、便所、扉等に用いられる仕上げで、エマルジョンパテで穴や傷を埋めた後、合成樹脂調合ペイント、フタル酸エナメル、カシューエナメル等の半艶塗料を塗ります。
建築外装

木の羽目板の上に合成樹脂の長後ペイント塗り
建築外部の塗装は色彩の調節、環境との調和、雨水からの保護、汚れ防止等を主目的にしています。
建築の外装塗装には木目を生かす透明塗装、木目は少しボケルが耐久性が向上するように工夫した半透明の塗装、木目は見えなくてもデザイン性と高い耐久性を持たせた着色塗装があります。
屋外の透明塗装
- オイルステインで着色した後にフタル酸樹脂ワニスか油変性ポリウレタン(1液型)を2回塗布します。
- オイルステインの上にボイル油で仕上げる方法は、1回目のボイル油をシンナーで薄めて素地に十分浸透させ、乾燥後2回目を塗装します。屋外の透明塗装はいずれの方法も耐久性が比較的劣るので、最初の塗装設計の時にメンテナンスを十分に考えておかなければなりません。一般に外装塗装では、耐久性を高めるために目止めは行いません。
屋外の半透明塗装:ボイル油、各種ワニスに素地が隠れない程度に微細または半透明の顔料を配合して塗装します。透明塗装よりは耐久性が良く、塗装前に無色の防腐剤を塗ってから塗装するとより効果が上がります。防腐剤、防カビ剤、はっ水性等を配合し、塗膜を作らない含浸型の木材保護着色剤はこの中に入ります。
屋外の着色塗装
- ほとんどが合成樹脂調合ペイントの2~3回塗りです。
- 高級な外装ではフタル酸樹脂エナメルの2-3回塗りをします。
塗装方法は刷毛塗りが最も多く、塗料の種類や粘度によってローラーブラシ、スポンジパット、タンポ、エアーレススプレーが使われます。