豊富な森林資源を使うことが環境や国土を守る日本の林業の現状・早わかり

緑で覆われている日本の国土

太古の昔より日本人は、森ととともに生活を営んできました。現代の日本人にとっても、森林は身近な存在です。都市に住んでいても車で30分~1時間も走れば、山々とともに豊な森林が視界に入ってきます。

熊本県 阿蘇のスギ林

衛星写真で日本列島を見れば一目瞭然です。日本国土のほとんどが緑で覆われています。日本は国土の7割が森林で、先進国の中では、世界第2位の森林国です。日本は森林資源が大変豊富な国なのです。

日本は国土の7割が森林(衛星写真:宇宙航空研究開発機構のHPをもとに加工)


戦後の拡大造林政策

戦後、日本では造林が盛んに行われ日本の森林の4割は人工林となった

今から60年~70年ほど前、日本は戦後の復興期で、木材の需要は急増していました。さらに高度経済成長期に入り、急速な建築ラッシュが起こり、木材の重要も急激に増え、伐採が進みました。伐採後の山には、比較的成長の早い、スギやヒノキなどが植えられました。木材の需要の見込んで、拡大造林と呼ばれる政策のもと、日本中に、スギやヒノキの人工林が広がっていきました。


林業の衰退

しかし、しばらくすると、木材産業を取り巻く環境が大きく変わり、日本の林業は大きな打撃を受けます。一つは昭和39年の木材輸入の自由化、もう一つは昭和48年に変動相場制に変わり、円高が進んだことです。これにより、外国から安い木材が大量に輸入されるようになりました。日本の木材は急激に使われなくなり、日本の林業は衰退の一途を辿ります。現在では、建物や家具、紙などに使われている木材の7割近くは海外からの輸入です。


なぜ海外の木材が安いのか

国産材と比べて輸入の木材が安い理由は生産コストの差です。日本の人工林はスギやヒノキなど、森林ごとにほぼ木の種類は揃っていますが、所有規模が小面積であり、多くの森林所有者の意思を取りまとめて伐採することが難しいのです。

さらに、険しい斜面での手入れや伐採はベテランの職人でも大変な作業です。また、林道整備が十分ではなく、作業道を作設する必要があり、木を運び出すにも技術や労力が必要なので、その分、木材の価格は高くなるのです。

険しい斜面での伐採は大変な作業となる

これに対し、海外の森林は平地にあることが多いため、林道の整備や機械化がしやすくなっています。例えば、ロシアのタイガには、同じ種類の針葉樹林が広大な平地に広がっています。そのため必要な木を選別する手間もかからず、大型の高性能林業機械で大量の木材を伐り出して運ぶことができます。つまり人手がかからず大量生産ができるので、コストが下がるのです。

海外では、林道の整備や機械化しやすいため、より低いコストで生産できる

また、マレーシアのサバ州にある熱帯雨林にはさまざまな樹木が密集しています。そのため、必要な木を選別する手間はかかるのですが、働く人の賃金が日本に比べてはるかに安いので、木材の値段も安くなります。

海外では人件費が安いので、低コストで生産できる

※マレーシアのサバ州にある熱帯雨林では、輸出用の木材をつくるために無計画に木が伐られました。その結果、森林破壊が進み、現在は環境への影響を配慮して伐採は規制されています。


日本の木材が売れないとどうなるのか

日本は森林資源が豊富な国でありながら、外国産の木材に押されて、日本では国産の木材があまり売れていません。その結果、収穫に適した木が伐採されずに山に残されています。林業に従事する人の数が年々減り続け、林業就業者の高齢化も進んでいます。売っても安く、採算がとれないため、後継者も減少傾向にあります。

林業が衰退すると適切な森林管理ができなくなり、質の良い木材が生産できなくなります。そして、林業従事者の意欲も減退します。また、地球温暖化ガスである二酸化炭素を吸収する機能が低下するとともに、根も張ることができず山崩れなどが起こりやすくなります。毎年日本各地で豪雨によって起こる山地災害の原因の1つが間伐が遅れている森林だといわれています。

林業を再生させる取り組み

このような現状を打開するため、林野庁ではさまざまな対策を実施しています。林道を整備したり、機械化を促進して人の労力を減らしたり、間伐促進のための助成制度を設置したり、林業の効率化とともに、災害に強い森林づくりも進めています。

木づかい運動のシンボルマーク。国産材製品に貼付できる。

そんな中、一般の消費者や企業・学校などの参加を求め、国民運動として展開されたのが「木づかい運動」です。身近な生活に国産材製品を取り入れていただこうというものです。木づかい運動は環境意識が高まった平成17年から始まり、今年で13年目を迎えました。木は伐ってはいけないということではなく「伐る→使う→植える→育てる」というサイクルをしっかり作り上げることが、木づかい運動の目標です。成熟している森林資源を積極的に使うことが日本の林業や山村、木材産業を活性化し、森林を健全に保ち、国土保全にもつながるのです。


〔参考・引用〕
林野庁「森林・林業白書」/宇宙航空研究開発機構JAXAのホームページ/Nigel Dickinson/木づかいブック/NHK高校講座

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