台湾の2018年上半期の木材製品輸入実績

台湾の木材市場は2015年下半期から不景気が続いている。2016年に景気が底を付き、2017年には回復の兆しが見られたものの、依然として非常に低迷している状態にある。台湾の今年上半期の木材製品の輸入実績は次のとおり。


原木

2018年上半期の原木輸入量は約24万6,500m3であり、2017年の同時期と比べ約5万1,700m3(前年同期比26.5%増加)したものの輸入量はかつてと比較して低くなっている。これは、2017年にマレーシアの原木輸出が急減したことが、主な原因である。

日本の原木(主にスギ)輸入量は約3万4,900m3で、2017年同時期の2万7,800m3と比べ、約7,000m3増加した。今年の年間輸入量は6万m3以上に戻すことが可能と推測されている(2017年は5万4,900m3)。

製材

2018年上半期の製材輸入量は約65万6,500m3で、2017年の同時期と比べ約26,800m3(前年同期比4.3%)増加した。製材市場(特に商業用材)は2016年の不景気から抜け出し、大きく回復している。この内、依然としてカナダからの輸入量が最多で、25万2,600m3に達し、38.5%を占めている。主にSPF、ヘムロック、ベイマツ。続いて、ヨーロッパからの輸入が約12万m3で18.3%を占める。主にクモスギ、チョウセンゴヨウ。

近年、日本は台湾に積極的に木材製品を輸出し、依然として日本のスギ原木が大半を占めている。

一方、製材の仕入れについては非常に少ない。長年にわたる台湾木材業者の仕入ルートは多様化しているが、近隣の日本から針葉樹関連の製材を仕入れることは、需要と供給の両面において、将来的に開発できる市場となるであろう。

合板

2018年上半期の合板輸入量は約28万2,100m3で、2017年の同時期と比べ約1万700m3(前年同期比3.7%)減少した。台湾国内の建築不景気の影響を受け、合板市場(ブロックボード市場を含む)が縮小し、上半期の輸入量は連続3年で30万m3を下回った。

依然として中国からの輸入合板が最多で、2017年では43.4%を占めるている。マレーシアは29.1%、インドネシアは21.5%であった。2018年の上半期は、中国の占有率が52.7%、マレーシアは22.4%、インドネシアは17.8%と減少傾向にある。この原因としては、合板価格の高騰し、供給サイズが台湾の輸入業者のニーズに対応していないため、業者は一部の輸入を中国にシフトしたことが挙げられる。今後この傾向はさらに顕著になると考えられる。

ブロックボード

2018年上半期のブロックボードの輸入量は3,266m3で、主に中国からの輸入である。台湾ブロックボード市場は主に国内製造にて供給されており、輸入シェアは2%に満たない。

単板

2018年上半期の単板輸入量は約13万5,300m3で、2017年同時期と比べて16,500m3(前年同期比13.9%)増加した。近年、台湾の単板輸入元には大きな変化が起こった。その概要は次のとおり。


ランバーコア

2018年上半期のランバーコア輸入量は約14万6,500m3で、2017年同時期と比べて約3万8,900m3(前年同期比21.0%)減少した。

近年、ブロックボード市場は、供給過多を引き起こして価格が下落し、業者は損失を出しコストを取り戻すことが困難となった。そのため、ブロックボード生産業者は生産能力の一部を普通合板の生産に切り替えている。

ブロックボード製造におけるランバーコアのほとんどがインドネシアから輸入で、マラッカギンネムが90%以上を占めている。またブロックボードの中芯は、ほとんどがマレーシアからのラワン単板からユーカリ単板に変わっている。また、ブロックボードの表板、裏板は、依然としてマレーシアのラワン単板または熱帯雑木が大半である。

しかし、一般的な単板の品質レベルが下がっているため、ますます高くなる輸入価格と販売市場の価格競争に対応しなければならない。

パーティクルボード

2018年上半期のパーティクルボード輸入量は約17万4,500m3で、2017年の同時期と比べ、約1万9,500m3(12.6ポイント)増加した。

パーティクルボード市場は2016年に国内外の環境影響を受け輸入が減少したことを除き、輸入供給量は増加傾向にある。その理由としては、国内市場において合板の一部がファイバーボード市場に取って代わったこと、低価格で、加工が容易なことなどが挙げられる。

2018年上半期の輸入量の傾向がこのまま続けば、2018年の年間輸入量は過去最高となるであろう。

ファイバーボード

2018年上半期のファイバーボード輸入量は約7万3,000m3で、2017年の同時期と比べ、わずかに2,100m3(2.9%)減少した。2015年以来、ファイバーボード市場における年間輸入量は15万m3まで減少し、14万~15万m3の幅で変動している。合板およびパーティクルボード(特に後者)それぞれの品質および価格の影響を受け、ファイバーボードの需要は年間約25万m3から下がり続け、今後上がる可能性は低い。現在、年間約14~15万の輸入量があり、段階的な市場需要量の予測によると、将来的にはパーティクルボードが取って代わる可能性がある。


台湾における2018年の木材市場を全体的に見ると、供給量は低迷状態にある。ただし、製材(商業用)および低価格のパーティクルボードが共に増加しており、単板輸入量は回復傾向にある。かって、単板の多数はブロックボードの製造原料となっていたが、現在輸入の一部は普通合板およびLVL単板積層材(軽い構造の角材用)の製造へと変わってきている。

不景気な国内木材市場に直面している業者は、損失の削減および販売利益の増加のため、生産品目の多様化を検討すべきであろう。