台湾の景観造園における木材の使用

1. 台湾木材産業の状況

台湾の木材産業は、国内の木材供給が不安定であるため、輸入への依存度の高い産業である。近年、台湾行政は、国内木材産業の活性化を図っているが、木材自給率は低く、わずか0.6%(2016年)に過ぎない。さらに、高い輸送コストと相まって、自産だけで、台湾の木材市場のニーズを満たすことが困難となっている。特に原木や木質パネルは、マレーシア、オーストラリア、タイ、中国などの輸入国に依存しており「木材産業は輸送業である」とまでいわれることもある。

台湾建設局の情報によると、台湾では毎年120棟の木造家屋を建設しており、そのほとんどは農舎の名義で建てられている。これは、木材構造技術者の不足、技術上の遅れや関連法規が不完全のためである。そのため、木造家屋の建設では、日本の規範を参考にしている。

台湾では、木造構造住宅を購入する際、銀行から資金を借り入れることはできない。また、建設用地の取得も容易ではない。さらに、建設コストが高いなど、木材産業活性化に向けた課題は少なくない。

2. 製品の状況

台湾の建築用木材市場では、様々な樹種と品質が入り混じっている。

国内で一般的使われている木材の品質は高くなく、低価格製品が氾濫している。さらには、木材模倣のプラスチック製品も出回っている。その結果、多くの施主は、品質悪い木材を使用した後、メンテナンス等の手間も多く、木材に不信感と抵抗感を持つようになってきた。

3.使用樹種の現状

台湾の木材市場には多様な樹種が出回っているが、概ね「針葉樹」、「広葉樹」、「プラスチック木材」、「木目レンガ」の4種類に分けられる。

針葉樹(サザンパイン材、アメリカヒノキ、セコイアなど)

台湾の景観工程に広く使われているが、近年、CCA(防腐剤)の使用が禁止され、供給の安定性が落ちたため、多くの業主と設計士は室外の使用を躊躇するようになった。



広葉樹(鉄木、檀木、ケヤキ、チークなど)

広葉樹は台湾市場で高い評価を受けている屋外用材であるが、資源が少なく、伐採制限があるため、価格上昇を招いている。



プラスチック木材

リサイクル可能のプラスチックと木繊維、ガラス繊維などを成分とする素材で、サザンパインなどの針葉樹材の代替材となりつつある。

木目レンガ

木目レンガは、セラミックタイルの表面に、天然木のテクスチャパターンを施したもので、主にスペインとイタリアから輸入している。 製造工程技術は高く、木材の欠点を克服し、木材としての質感を持つため、徐々に普及しつつある。

台湾景観工程の実例と市場分析

プラスチック木材は、メンテナンス性と供給安定性に優れていることから、台湾景観業の主力製品となっている。しかし、メーカーにより、品質の違いも大きく、反りやひび割れの状況がしばしば発生し、クレームも少なくない。

木目セメントや木目レンガは市場の新興材料として、出回りはじめているが、その理由としては、次の内容が挙げられる。

  • 木材資源としての環境が厳しい台湾では、木目セメントと木目レンガは、非常に魅力的
  • 変形しない、反り曲げしない、腐らない、傷つきにくいなどの木材の欠点を克服している
  • セメントやレンガの加工によって木目の質感が創り出されている
  • メンテナンスの必要がない

参考資料:屋外で使用される木材の比率と用途(台湾・景観デザイン工程会社の資料より)