10月の木材価格・需給動向

1.国産材(北関東)

栃木県では、原木生産は虫害の減少により間伐から皆伐へ移行し順調に進んでいる。なお、一部県西地域は降雨の影響で出材が少ないが、天候が回復すれば、出荷増が期待される。間伐材は皆伐の増加で供給減少の見込み。材の引き取りは順調である。各共販所とも完売。スギ材は 3m、4mともに原木不足で強保合。全体的に引き合いが強く入札者も増えている。3m柱材は 16,000 円台半ば、4m中目材は 16,000 円台前半で推移。ヒノキ材は 3m柱が下落傾向で19,000 円前半、4m中目材は 24,000 円台後半で価格帯も落ち着いている。

群馬県では、原木の出材は少ない。虫害が未だ発生しており、良材は集荷が困難で価格も高い。原木在庫はスギ・ヒノキとも約 40%の水準。操業は約 120%で忙しい状況。受注は首都圏・ビルダー向けが平年並み、土木・大型物件は継続。製品在庫は特にヒノキ 4m90 角・105 角 KD が少ない。乾燥経費の上昇で採算は厳しく値上げを要請しているが、製品価格は低位安定。年末に向けて人手と原木の確保が課題となっている。

2・米 材

カナダ BC 州内陸部は未だ山火事の警戒レベルだが、沿岸部では降雨率が高まり、秋入りで完全に山火事シーズンは終了した。カナダでの原木伐採も私有林所有会社を中心に伐採が本格化していく見込みである。中国による 3 月からの米国産原木の輸入禁止は継続しているが、影響は限定的である。日本向け港頭在庫は米国産・カナダ産ともに過不足はない。カナダ国内向け原木は BC州政府の方針、関税問題で低調で港頭在庫も極めて少ない状況が継続している。米国によるカナダ産針葉樹製材品に対する関税(最大 47.59%)が確定したことで、平均価格は 4 月のピーク時から 25%下落。米国 FRB による利下げも住宅着工・木材市況にはまだ影響を及ぼしていない。米マツ IS 級並の対日輸出価格(推定)は前月同水準の$1,020/千 SCR で推移。ランダムレングス紙発表の 15 種平均価格は 10 月 6 日時点で$389/M となり、9 月初めに比べ 3.0%上昇。

8月の原木入荷は104千㎥、1~8月累計は1,036千㎥(前年同期比2.9%増)、うち米国産が 686 千㎥(同 3.5%減)、カナダ産は 350 千㎥(同 16.2%増)と大幅増加。出荷は 93 千㎥と前月比 38.9%減、1~8 月累計は 1,056 千㎥(同 4.9%増)で入超。在庫は 156 千㎥、在庫率は 1.17 ヵ月と増加。東京木材埠頭の 9 月米材製品入荷は 12.9 千㎥(前月比 25.1%増)、出荷は 10.1 千㎥(同 25.8%増)、在庫は 31.4 千㎥(同 9.9%増)。限定的な期間、数量であるが、現地サプライヤーが日本向け生産を再開し出荷するとの情報もある。

3・欧州材

第 4・四半期の契約交渉は継続中であるが、第 3・四半期に引き続き大幅な成約減、供給減になる可能性がある。一部サプライヤーで値下げの動きが見られるが、ユーロ高の流れは変わらず、産地コストは上昇している。間柱類は国産材や LVL にシェアを奪われており、欧州材への依存度は低下している。先物コストは 70,000 円/㎥を超えており、プレカット工場の稼働が回復すれば価格はジリ高に転じる可能性がある。集成柱・梁についても輸入・国内ともにコストは 80,000 円/㎥を超えており、稼働回復に伴い価格上昇傾向が続く見込み。東京木材埠頭の 8 月製品入荷は 16.7 千㎥で前月に続き高水準。出荷は12.4 千㎥と低迷。在庫は 43.4 千㎥と 5 月から入超が続き膨らんでいる、10 月末が在庫のピークになると予想される。

4・北洋材

産地の 9 月は平年より寒く、降雨もあり、夏山伐採は進行しているが搬出は停滞気味である。日本向け製材生産はアカマツ良材の不足により減少傾向。中国からの引合いは低水準、ウズベキスタンなどの国内需要も建築シーズンの終了が近づき鈍化している。アカマツ原板価格は$430~410/㎥、完成品は$570~530/㎥といずれもやや弱含み。国内では現地挽きアカマツ野縁製品が若干の価格調整に入ったが、原板挽き製品には一定の引合いがある。8 月の製品入荷(東京+川崎)は10.2千㎥と前月に比べ大幅減少。出荷は実需に迫力なく9.9千㎥、在庫は 53.9 千㎥と高止まりしている。

5・合 板

カラマツ・スギ原木の不足感は解消傾向にあるが、東北地方の豪雨による出材不足が懸念され、原木価格は上昇傾向にある。9 月も国産合板の荷動きはルート系を問わず、プレカット工場向けも当用買いが中心で低調。メーカー側も需給バランスを考慮し、減産を継続している。10 月もメーカーの小幅な値上げが継続されており、第 3・四半期の値決めは難航しているものの、値上げは受け入れられている。8 月の国内合板生産量は 18.8 万㎥、うち針葉樹構造用合板は 16.7 万㎥、出荷量は 16.4 万㎥、在庫量は 16.6 万㎥で前月比 5,128 ㎥増加。9 月も出荷が低調なため在庫がそれ程減少するとは考えられない。輸入合板も荷動きは低調ながら、マレーシア産を中心にコスト高の入荷が見込まれ、旧値の現物在庫を探す業者も見られ一部アイテムで荷動きは活発化。8 月の輸入量は 15.7 万㎥(前月比 84.2%)と減少、特

6・構造用集成材

9 月の弊社ラミナ入荷量は前月比 23.8%の増加。在庫は概ね十分な水準を維持しているが、長尺や WW のラミナは不安定な状況が続いている。第 4・四半期契約では RW ラミナに€20/㎥程度の値上げオファーが出され、為替も 172円/€付近の円安が継続しているため、集成材価格には強い値上げ圧力がかかっている。国内集成材メーカーの 9 月受注はプレカット工場の稼働率が好調で前年同月比 119%。長物や尺上製品の相場は強含み。原料高・製造コスト高の影響により価格は上昇傾向が続いている。8 月の構造用集成材の輸入量は小断面 21,562 ㎥(前年同月比 29.2%減)、中断面 20,685 ㎥(同 14.5%減)。今後の住宅着工数は確認申請の遅延分が承認されることから伸長が見込まれる。

7・木材チップ

原木入荷は製紙用・バイオマス発電用ともに例年並みであるが、製紙向けパルプ材、発電向け未利用材(C 材)ともに不足感が強く価格は高止まりで推移。震災廃棄物の石川県外への搬出は大幅に減少しており、年内には処理の目途が付く模様である。消費は製紙用・燃料用ともに、製紙大手の定期修理が終了し、生産が再開されたため増加傾向にある。在庫は原料・燃料用ともに不足感はない。国内チップ工場では燃料用は震災廃棄物と解体物件の減少により在庫を持てない工場も多い。

8・市売問屋

住宅向けの荷動きは依然上向いてこないが、店舗・非住宅物件は仕事が出ており今後に期待したい。国産材構造材はまとまった注文も少なく製品販売量は伸びない。需給バランスは安定しており、値上げできる状況にはない。外材構造材・集成材も引き合いは弱く価格は横ばい。構造材自体に不足感はなく、夏場に値上がりした WW 集成管柱も品薄感なく保合状態。首都圏のプレカット工場では、大手ビルダーを中心に受注活発化の動きかあり、9 割台の稼働まで回復、中小工場も 8 割台の稼働になっている、4 月以降の確認申請の遅れによる物件が出て来たことが要因で一過性の忙しさとの見方もある。工務店では職人不足により着工に入れず、工期のずれ込みが目立つ。

参考資料 →