11月の木材価格・需給動向

1.国産材(北関東)

栃木県では、本格的な伐採時期に入り、間伐・皆伐作業とも順調。県西地域では豪雨で崩れた作業道の復旧が進み、県北地域では皆伐作業に切り替える事業体が増え、共販所への入荷量も増加の見込み。間伐材は小径木も含め例年同様の出材量が見込まれる。スギ材は3m、4mともに不足感があり強保合。全体的に引き合いが強く入札者も増加。3m柱材は16,000円台半ば、4m中目材は16,000円台前半で推移。ヒノキ材は供給が安定しているため引き合いが弱く下落傾向。3m柱は18,000円後半、4m中目材は22,000円台後半で推移。
群馬県では、原木の出材は少ないが徐々に回復している。原木在庫はスギ・ヒノキとも約70%の水準。操業は通常の約120%で多忙だがロットは小さい。受注は人手不足だが順調。首都圏製品市場・ビルダー向けは平年並みであるが、土木・大型物件の受注は継続。製品在庫は少なく、荷余り品はない。乾燥経費の上昇で採算は厳しく値上げを要請しているが、製品価格は低位安定。人手確保と採算回復が課題となっている。

2・米 材

米国ワシントン州、オレゴン州の産地では、冬季の降雪とクリスマス休暇前の伐り旬を迎え原木出材は順調。日本向け港頭在庫は米国産・カナダ産とも過不足感はない。ただしカナダの国内向け原木はBC州政府の方針と関税問題により極めて低調で港頭在庫は極めて少ない状況が続いている。カナダ産合板用は、一定の引き合いが強いことからドル価格は横ばいであるが、為替分円貨ベースでは値上がり。米マツIS級並の対日輸出価格(推定)は9月から3ヵ月連続の値下げとなり$970/千SC。ランダムレングス紙発表の15種平均価格は11月5日現在$389/M、10月初めに比べ4.3%の上昇。中国政府は米国産原木輸入停止措置の撤廃を発表した。
 9月の原木入荷は103千㎥、1~9月累計は1,139千㎥(前年同期比0.8%増)、うち米国産が786千㎥(同0.9%減)、カナダ産は353千㎥(同3.4%増)。出荷は113千㎥と前月比21.7%増、1~9月累計は1,170千㎥(同3.4%増)で入超。在庫は147千㎥、在庫率は1.15ヵ月と低水準。東京木材埠頭の10月米材製品入荷は11.4千㎥(前月比11.4%減)、出荷は12.1千㎥(同20.5%増)、在庫は30.6千㎥(同2.4%減)。ここにきて製材需要は秋需とまではいかないものの、今夏に比べ回復している模様である。

3・欧州材

第4・四半期の契約交渉は若干の価格調整はあったもののほぼ終了。更なるユーロ高でコストが下がらず、集成材関連の成約は通常比約30~40%程度に落ち込む見込み。間柱類は欧州セントラルエリア(オーストリア、ルーマニア)の原木コストが上昇し、羽柄材の主要シッパーの競争力が奪われ、一層国産材やLVLへのシフトが高まると予想される。輸入・国内集成材ともコストは80,000/㎥を超えており、プレカット工場の稼働回復基調によりジリ高傾向は続く見込み。東京木材埠頭の9月製品入荷は13.7千㎥と一旦減少したものの、10月は再び上昇が見込まれる。出荷は15.4千㎥と上向き傾向。在庫は41.4千㎥と前月より若干減少したが再度増えると予想される。しかし、これが入荷のピークとなり、11月以降は出荷増に転じる見込み。

4・北洋材

産地の10月の天候は平年並み。気温も昼間5℃、夜間-5℃と寒く、冬山伐採の開始は慎重となり搬出は停滞気味である。日本向け製材生産はアカマツ良材の不足により減少傾向。中国からの引合いは低水準、ウズベキスタンなどの国内需要も建築シーズンが終了し悪化している。アカマツ原板価格は$430~400/㎥、完成品は$550~520/㎥といずれもやや弱含み。国内では現地挽きアカマツ野縁製品が若干の価格調整が入り、原板挽き製品は一定の引合いがある。9月の製品入荷(東京+川崎)は12.7千㎥と前月に比べ増加。出荷は11.0千㎥と実需に迫力はない。在庫は55.6千㎥と増加となったが、10月は若干の低下が見込まれる。

5・合 板

国産合板は丸太不足が解消傾向にあるが、原木コストが上昇しており、完成品に大きく影響を及ぼす可能性がある。10月も国産合板の荷動きはルート系を問わず、プレカット工場も当用買い中心で低調である。合板メーカー側も需給バランスを考慮し、減産を継続している。11月もメーカーは値上げ姿勢を崩しておらず、価格はハウスメーカーに受け入れられている。9月の国内合板生産量は21.2万㎥、うち針葉樹構造用合板は19.3万㎥、出荷量は19.6万㎥、在庫量は16.4万㎥で前月比1,466㎥減少。10月は生産量次第であるが、出荷が芳しくないため在庫は増加すると見込まれる。輸入合板も荷動きは低調であるが、現地のコストアップ分の入荷が始まっており、先行きは値上げ。インドネシア、マレーシア産地とも雨期入りで原木不足が始まり現地工場の稼働も低下し、特にマレーシアでは日本からのオーダーも少なく生産に影響している。9月の輸入量は17.7万㎥(前月比112.8%)と増加し、特にインドネシアからの入荷により全体量が増加している。

6・構造用集成材

10月の弊社ラミナ入荷量は前月比41.7%と減少。在庫は概ね十分な水準を維持しているが、WWラミナは不安定な状況が続いている。第4・四半期契約では€280~290/㎥で契約し、来年の第1・四半期オファーは約€20/㎥程度の値下げ交渉となる可能性が高い。為替178円付近とかなり円安で、ラミナは値下げ、為替円安により製品価格は総じて値上げ傾向にある。国内集成材メーカーの10月受注はプレカット工場の稼働率が好調で前年同月比100%。長物や尺上製品の相場は強含み。原料高・製造コスト高の影響により価格の上昇傾向は継続している。9月の構造用集成材の輸入量は小断面21,440㎥(前年同月比30.5%減)、中断面18,462㎥(同10.4%減)。住宅着工数は11月に向け、確認申請の遅延分が承認されることから伸長が見込まれる。

7・木材チップ

原木入荷は製紙用・バイオマス発電用ともに小径材(C材)の引き合い強いが、国産材原木は低調、輸入材原木は例年並み。燃料用は産廃工場の新規開設の動きもあり、今後競争、処理費の値下げ等が懸念される。消費は、製紙用が大手の定修終了・生産再開となり増加中。燃料用はやや余剰感はあるが例年並み。在庫は燃料用ともに不足感はないが、原料用は出材が少なく、製紙会社が価格を上げて確保している情報もある。国内チップ工場では燃料用は震災廃棄物と解体物件の減少により、各社とも集荷量の確保に動いている。

8・市売問屋

盆明け後は荷動きに若干の回復の兆しが見られたものの、9月中盤から失速感がある。国産材構造材は、プレカットの稼働は回復傾向にあるが市況に迫力はなく、柱や土台を挽く国産材製材工場の状況は停滞感が強い。外材構造材・集成材も市況は悪く保合が続いており、為替の影響で値上げに踏み切りたいが、国産材製品への移行がさらに進むとの見方もあり、値上げには踏み切れない模様。首都圏のプレカット工場では、分譲ビルダーからの受注増加に加えて、非住宅や集合住宅の受注も活発な動きがあり、大手工場や有力工場では9割台の稼働まで回復しているが、前年の水準には届いていない。11月から年末に向けても十分な受注を確保している訳ではないため、この忙しさが続くかは不透明な状況。

参考資料 →