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木材の匂い

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木材のにおい成分
(水蒸気蒸留により得られる精油)

 伐採直後の生材は、何らかの匂いがあります。乾燥などの工程を経ると、匂いはほとんど感じられなくなる場合が多いのですが、材によっては強い匂いが長く残る場合もあります。
 たとえば、法隆寺の柱などに使われている樹齢1000年以上のヒノキは、伐採後1300年を経過しているにもかかわらず、その表面をカンナで2~3ミリ削ると、ヒノキ特有の匂いが漂うそうで、匂い成分の寿命の長さには驚かされます。これらの匂いはヒノキの香りのように、材の価値を高める特徴となったり、逆にアンチアリス材のようにアミン様の悪臭を放ち、材の欠点になるものもあります。また、微量の匂い成分によって、金属が腐食される場合もあり、木材を利用する上で問題になっています。
 匂いの成分は、揮発性物質であり、植物体から水蒸気蒸留により得られる精油の中に含まれ、多くは液体ですが、ショウノウのように固体の化合物もあります。匂い成分の材中での含量はたいへん微量ですが、各樹種を特徴づけるうえで、大きな役割を果たしています。
 木材の匂いの成因は、第一に樹木本来の生理活動によって生産される場合、第二に木材成分が、微生物などによって分解された結果、材本来の成分ではない物質が生産される場合の2通りがあります。
 材本来の匂い成分としては、テルペノイド類、芳香族類、アルカロイド類等が多く、悪臭の成分としては、低級脂肪酸類等が多く見いだされています。悪臭成分は、親水性の物質であるため、木材中の水分等に強く保持され、これらを材から完全に除去することはたいへん困難です。その為悪臭を除去する決定的な方法は確立されておらず、木材を伐採した後、運搬、貯木、製材、乾燥に至るまでの管理に注意を払い、悪臭を生じさせない予防策を立てることが必要です。