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住宅内のダニの増加

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 戦後、わが国では急激な経済成長とともに生活環境が大幅に変化してきました。住宅事情などもその一つです。新しい建材や建築方法が導入され、住居管理法にも変化が見られます。一見私たちの住居環境は以前に比べ大きく改善されたように見えますが、必ずしもそうともいえません。
 最近、室内塵の中に生息するダニの数が増え続けているといわれています。ダニは喘息の原因となるやっかいものです。そして、なんと住居様式の変化がダニが増える原因の一つになっているのです。
 戦後のわが国では住宅が木造からコンクリート造、プレハブ造へ移行しました。それに連れアルミサッシやビニール材等も普及し、住宅の気密性が格段に向上しました。昔の木造住宅にはすきま風によって適度に空気の流れがありましたが、現在では住宅の気密性が向上した代わりに空気の流れが悪くなり部屋の片隅など局部的に湿度が高くなる場所が出てきたりします。さらに暖房設備や家庭内電気器具の普及などがダニの生育しやすい高温多湿の条件を作り出します。生活が洋風化しカーペットなどの敷物を使うようになったこともあります。敷物はダニに住みやすい場所を提供するからです。
 核家族化や共働き家族が多くなったこともダニが増える原因の一つとして考えられています。家を閉め切っている時間が多くなり、室内の空気の換気をする機会が少なくなるからです。昔のように大掃除をして畳み干しをするようなことが少なくなったことも原因です。天気の良い日に家の前の道路に畳を並べ虫干しするような以前よく見られた風景は今では見られませんね。
 室内に生息するダニの数は30年前に比べ現在は2.5倍以上にも増えています。

新設住宅戸数と室内塵中のチリダニ数の推移
高岡正敏、アレルギーの臨床、9.20(1989)