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木の床はダニに強い

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木の床はダニに強い

 住居内にダニが増え、そのダニの死骸や糞は軽いので人が室内を歩くときに空中に舞い上がり、それが鼻から吸引され喘息がおこります。小児喘息患者の大きな割合がダニによるものです。最近、患者が増えているアトピー性皮膚炎にもダニが関係しているといわれています。
 こんなに世の中を騒がしているダニに対する手だてはないものでしょうか。ダニを防ぐには室内の高湿度を避けるとか、掃除をよくし部屋を清潔に保つなどが効果的ですが、それ以外にも効果的な方法があります。それは木の床を使うことです。

 こんな例があります。2LDKのマンションに住み、家族5人のうち3名がダニ抗原に反応を示す気管支喘息および、アトピー性皮膚炎患者の家でこの実験は行われました。カーペットおよび畳であったこの家の床をナラ材でできた木質の床材に張り替えたのです。床材を張り替える6ヶ月前から毎月各部屋とベッド、ソファーなどの塵を採取してダニの数を調べ、床を張り替えた後も1年間毎月ダニ数を調べました。その結果を図に示ししました。
 図1は室内塵中のダニが繁殖する8月・9月のダニの数を改装前と改装後に比較したものです。改装前のダニの数は床面積1平方メートル当たり104匹であったものが、改装後は23匹に減少しています。床を張り替えた後の長期の調査でもダニの増加は低く抑えることができることが明らかにされています。これはダニにとって何の隠れ場所もない木の床が物理的にダニが住むには不利であること、木の床が適度に調湿作用を行い、湿度を調節しダニに有利な高湿の状態を少なくしていること、さらに木のにおいがダニの繁殖を抑える働きがあることなどによるものです。木の床はダニを抑えるのに効果があるのです。

床上のダニ数の月別比較(p<0.05)
(高岡による)

図1 木の床への改装前・後のダニ数
ダニの最も繁殖する8~9月に測定。
(高岡正敏、アレルギーの臨床、9,20(1989))