斎藤 誠 インタビュー
楽器を通して木の魅力を実感し、また現在の日本の森が直面している問題も意識するようになったという斎藤誠さん。 僕はここのところよくチェリー材のギターを使ってるんですけどね。それはすごく香りが良くて、部屋に置いといても、とても気持ちが良くなるんです。もともとギターっていうのは、部屋においといて、それを眺めるだけでも気分が良くなるものなんですけど、ギターの香りをかいでアロマ効果を味わえるなんてすごく幸せな気分になりますよね。 ──やはり木の良さは特別なものですか?
各国それぞれに違うのかもしれないけれど、やっぱり日本人が落ち着くのは木でしょ。石ではないですよね。つい口にするじゃないですか。ウッディなのがいいね、とか。 ──その感覚のもとにあるのが木ってことなんですよね? そう。あれが石でできてたらやっぱり違いますから。あれは、日本人が与えられたひとつの喜びなんじゃないですかね。僕はそれはラッキーだと思うんです。 ──ちなみに、誠さんの家で楽器以外に木でできてるものというと? 僕の家は、おはずかしいんですけど、築46年の掘っ建て小屋なんです(笑)。どこをたたいても木しかでてきません(笑) ──築46年はすごいですね。 ──でも、それだけもってるっていうことはきちんと作られているということなんですよね。
そうなんでしょうね。ボールを置くと、コロコロって転がってきたりもするんですけど(笑)、それにしてもよくもってるなと思うし、やっぱり愛着はありますよね。 ──いま何か欲しいものはありますか? いっぱいあるような気がするけど…、壁一面の棚とかかな。そこには本とかCDとかが並んでて、それが木だったら本当にいいだろうなとは思います。それと、もし自分の家に小さなスタジオみたいなものを作るようなことになったら、木の匂いのするような空間を作れたらいいなとは思ってるんです。 ──スタジオが木っていうのはいいですよね。 木じゃないと落ち着かないですよね。都内にいっぱいスタジオがあるけど、木だとやっぱりゆったりギターが弾けたりしますね。そういう意味では、古いスタジオのほうが好きだったりする。だから、自分の部屋をスタジオにするようなことがあったら、国産材を使ってそういうふうにしたいなと思いますね。自分も落ち着けて、日本の森も守れるってすごくいいじゃないですか。 インタビューと構成・兼田達矢 |
斎藤 誠
Singer Song Writer, Producer, Guitar Player, Composer
小学校3年生の頃、ビートルズ日本武道館公演のTV中継を観てR&Rと衝撃的に出会い、その後の人生を決定づける。
青山学院大学在学中、今では伝説となった音楽サークル“ベターデイズ”(桑田佳祐、原由子、小西康陽らが在籍していた)に在籍し、またまた音楽漬けの毎日を送る。
1983年にアルバム『LA-LA-LU』でシンガーソングライターとしてデビュー。
その後、様々なアーティストのプロデュース、アレンジ、セッションを重ねた斎藤誠のメロウな声と熟達したプレイを誰もが本物と賞賛。そして音楽活動20周年にあたる2003年、20周年企画盤アルバム『WALTZ IN BLUE』をリリース。'04、ベストバラードアルバム『BALLADS' BEST』リリース。'05『斎藤誠ゴールデン☆ベスト アーリー・コロムビア・イヤーズ』をリリース。