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木材利用相談Q&A 100

住宅 - 構法に関する利用相談

住宅 - 構法
Q21 大増改築のし易い木造住宅はどの様な構法が有利ですか?

木造住宅のどの工法と比べても、木造軸組工法は増改築の場合も含めて設計自由度が最も高い優れた性能を持った住宅工法です。増改築の必要が出てきたときには最も有利に施工できます。

1)木造住宅は、工法的に木造軸組工法、2×4工法、木質系プレハブ工法などで造られています。何れも同じく木造ですが、増改築のしやすさの観点からは非常に大きな違いがあります。
まず、2×4工法はQ4の説明でも触れましたが、荷重を壁で支える構造となっているので、この壁を抜くことはほとんど不可能です。従って間取りを変更しようとする場合は非常に大きな制約があります。また、増築の場合も増築部分と現建築とをつなぐ所に開口部を設けることに大きな制約を受けます。

2)木質系プレハブ工法の増改築は困難です。その建物の安全を確保する構造が現建築の形で評価され、認定されているものなので、増改築はこの評価の前提を変更することとなるので安全が保障されなくなるからです。
ログハウスの場合も、荷重を受け持つ壁とするためログを鋼材ダボなどで固定し、しかもログの交点は交互にかみ合っているため簡単に除去できず、作業的にも建物の構造的にも変更が不可能なので増改築には向きません。

3)一方、木造軸組工法は、耐力壁でなければ自由に除去できるので容易に間取りを変えることができます。強度上必要な場合は他の非耐力壁を耐力壁に改造して補強し、構造を保つことも出来ます。木造軸組工法住宅は、増改築も含めて設計自由度が最も高い点で、他のどの工法よりも優れた建築工法住宅なのです。

4)しかし、設計自由度が高いとは言え、安易な増改築は、例えば今回の阪神・淡路大震災でも平屋建てに二階を乗せた「おかぐら」と呼ばれる増築建築が、大きな被害を受けました。もともとの平屋建てが二階の重量に耐える構造になっていない場合が一般なので、このような結果を招来してしまったのです。増改築は単なる間取りや使い勝手で行ってはいけません。増改築後の建物全体の構造の安全を充分考慮し、必要な補強を確実に行って下さい。

注)耐力壁:柱・梁で作られた木造軸組が、風圧や地震力のような横からの力を受けた時ひしゃげてしまわないように、柱・梁・土台を互いに動かないように筋かいや構造用合板で固定した壁部分を言います。木造軸組工法では建築基準法でこの耐力壁の数量、種類、配置などについて厳密な規定があり、建築中の現場検査でチエックされることになっています。従ってこの耐力壁を取り払うとその家は必要な強度を維持できなくなります。非耐力壁はこのような任務を持っていない壁なので、単なる柱、梁、土台で囲まれた四角の空間を塞ぐだけの役割しか持たない壁です。従って耐力壁のように使用する材料についての規定などは無く、自由勝手なもので作られています。

住宅 - 構法
Q21 大増改築のし易い木造住宅はどの様な構法が有利ですか?
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