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パーティクルボード木質建材の種類と特徴

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パーティクルボード

パーティクルボード

パーティクルボードは、木材その他の植物繊維質の小片(パーティクル)に合成樹脂接着剤を塗布し、一定の面積と厚さに熱圧成形してできた板状製品です。従来この種のボードには種々の名称があり、わが国では削片板と称されることもありますが、JIS A5908ではパーティクルボードという名称に統一してます。しかしイギリスではチップボードがパーティクルボードの同義語として使われています。また最近、北米では大きなフレーク状の小片からなるパーティクルボードをウェーファーボードと呼んでおり、また、繊維方向に細長い小片(ストランド)を一方向に配向させたり、表層と内層でそれらを直交させたりしたボードを配向性ボード(オリエンテッド・ストランドボードOSB)と称しています。なお、わが国のパーティクルボードはJISにより、表面状態、曲げ強さ、接着剤、ホルムアルデヒド放出量、難燃性の5項目の組み合わせで分類されています(表1)。

パーティクルボードの種類区分

(備考)24-10タイプは配向性ストランド・タイプ(OSB)、17.5-10.5タイプはウェーファー・タイプのボードをいう。

パーティクルボードはその構成によって単層、3層、多層ボードに分けられます(図1)。このうち3層とは、表裏面層の小片が細かく、内層に比較的粗い小片で構成されたもの。多層とは表面から中心層に向かって微小片から粗大片と連続的に構成されたものです。表面層をち密にし、内層を粗にすることは、全体の密度を低くして、なおかつ曲げ強さを大きくするため、さらには表面の平滑性により、後の表面二次加工を容易にするためのものです。しかしウェーファーボードやOSBは表面性は考えず、建築構造用(下地用)として強度の増強を狙ったものです。また接着剤により、ユリア、ユリア・メラミン共縮合、フェノール樹脂系をそれぞれ、U、M、Pタイプと呼んでいます。さらにホルムアルデヒド放出量の最も少ないボードをE0 タイプと称しています。

パーティクルボードの製造法

パーティクルボードのホーミング

図2は3層ボードの製造工程の1例です。表層、内層2系列にすることによって、原料、小片形状、乾燥度(小片水分)、接着剤塗布量を別々に規制します。

小片化工程は原料が丸太の場合、ドラムフレーカー、廃材チップの場合はリングフレーカーが使われます。3層ボードの場合、表層用微小片は、後者をさらに精砕します。内層小片は厚さ0.5mm前後で、長さ10~20mm、ウェーファーボード用小片は、長さ30mm以上、厚さ0.4~1.0mm程度の方形状です。OSBのストランドはウェーファーをさらに特殊な破砕機で破砕しますが、工程中で自然に繊維方向に平行に割れる場合もあります。

パーティクルボード製造工程図(3層)の一例

小片乾燥は、熱圧の際のパンクを防ぐために必要な工程です。接着剤は一般にスプレイ塗布で、添加量は表層11~13%、内層7~8%(対全乾木材比)。普通、接着剤の中に硬化剤と防水剤(ワックス)が少量加えられます。

マット成形(ホーミング)工程では、3層ボードの場合、小片を表層と内層で別個に堆積させますが、多層ボードでは、風力または、はねとばし分級によって表層の微小片から内層の粗大片まで連続的に堆積させます。OSBの場合は落下する小片に方向性を与える方法として機械的のものと電気的のものがあります。

熱圧には、普通多段プレスが用いられますが、大面積の一段プレスの場合もあります。この熱圧条件(小片含水率、温度、圧締圧、時間)がボード材質を左右します。一般に圧締圧は15~35g/cm2 、温度は 140~ 160℃(U、Mボード)と180~200℃(Pボード)。時間はボード厚さ1mmに対して多段30秒、一段プレスで約10秒。最近は新しい熱圧法として連続プレスや蒸気噴射プレスが開発され、能率と品質向上に役立っています。

パーティクルボードの規格

パーティクルボードの規格寸法
(備考)標準品の厚さは10,12,15,18,20,25,40mmであり、化粧パーティクルボードの厚さは基準の厚さに化粧層の厚さを加えたものをいう。

パーティクルボードは、JISにより寸法、性能、試験法が規定されています。表2はパーティクルボードの寸法及びその許容差で、表3は性能に関する規定です。


(1)曲げ強さ

曲げ強さが18.0N/mm2以上のもの、同13.0N/mm2以上のもの、同8.0/mm2以上のものを、それぞれ18タイプ、13タイプ、8タイプ・パーティクルボードと称しています。そのほか配向性ボード、ウェーファーボード、単板張りパーティクルボードを対象として24-10タイプ、17.5-10.5タイプ、30-15タイプの規定があります。


(2)接着剤

建築の構造用パネルに使うためには、ユリア樹脂接着剤(Uタイプ)では耐水性が不十分で、より耐水性のあるユリア・メラミン共縮合樹脂接着剤(Mタイプ)か、フェノール樹脂接着剤(Pタイプ)を使う必要があり、表4に示す接着剤の規定があります。


(3)ホルマリン臭

ユリア樹脂を接着剤にしたボードは、おうおうにしてホルマリン臭が出て、使用上問題になることがあります。JISではこのような問題の発生をさけるため、出荷時のホルムアルデヒド放出量をデシケーター法により5mg/l以下(E2タイプ)に規制しています。特に放出量の少ないものが必要な場合には、放出量を0.5mg/l以下に抑えたE0タイプと、その中間の1.5mg/lのE1タイプがあります。

なお難燃性はJIS A1321(建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法)の規定によっています。また断熱性は必要に応じ、熱抵抗をJIS A1420(住宅用断熱材の断熱性能試験方法)で測り、厚さ1mm当たり約0.0072m2・h・℃/kcal以上という規定に適合しなければならないとされています。以上のほか、OSBを対象として構造用パネルのJAS規格が作られています。

パーティクルボードの利用

パーティクルボードの最近の需要構成は、家具56%、建築30%、電機器11%で、家具のシェアが最高ですが、しかし、パーティクルボードは、今後合板代替材として建材にも伸びて行く材料です。


(1)建築構造用:市販の構造用のパーティクルボードの性能は表6に示すとおりです。曲げ強さ、曲げ弾性係数は合板より数段おとりますが、15mm厚の場合曲げ破壊荷重は12mm厚の構造用合板を上回っています。また、面内剪断弾性係数は合板の2~3倍、くぎ頭貫通力、釘側面抵抗も合板より大きい値を示し、厚さが厚い方が有利であることを示しています。耐水性の程度を示す煮沸試験の結果は、Pボードが合板に匹敵する性能を示し、構造用材料に使用しうることを示しています。

木造住宅枠組壁工法の住宅金融公庫共通仕様書には耐力部材として、建設省告示により認められた壁倍率JIS18 、13、24-10及び17.5-10.5のPタイプで厚さ12mm以上のものが3倍と記載されています。また床下張りは50cmを超える床根太間隔の場合、 JISの同様タイプのPとMタイプで厚さ18mm以上のものが認められています。また野地としては厚さ12mm以上の同様タイプのものが認められています。 在来工法では大壁面材耐力壁の公庫仕様書に厚さ12mm以上のJIS18、13、24-10及び17.5-10.5 Pタイプのものが、壁倍率2.5倍として、また野地としてはJIS13以上のP及びMタイプの同様厚さのものが認められています。


(2)家具用:13タイプのUボードが主流で、テーブル心材にべたで、また箱物家具のフラッシュパネルの枠心材に切り使いされています。しかし、今後は組立家具にべた使用が増えて行く傾向にあります。そのほか音響特性を活かし、各種キャビネットに使われています。